耳鼻咽喉科の咽喉とは口・のどを指します
風邪などで口やのどに違和感を覚えたときには内科を受診される方も多いと思います。確かに、風邪症候群の際に熱を下げたり、感染拡大を抑えたりする薬物療法は主に内科で対応いたします。しかし、風邪によって喉に痛みが出たり、鼻に炎症が起こったときは、のどなどの疾患の治療を専門に行っている耳鼻咽喉科が最適です。口やのどの調子が悪いなと感じた際には、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
- こんな口・のどの症状は耳鼻咽喉科に相談を
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- 喉に違和感や異物感、腫れがある
- 喉に痛みがあって気分がすぐれない
- 声がかすれる
- 呼吸がゼーゼーする
- 喉に何か異物が出来ているようだ
- 口内炎がよくできる
- 口腔内や喉が乾燥しやすい
- 咳や痰が長引いている
- 食事の際に、食物を飲み込みにくい
- 顎の下や首が腫れている、首を触ると痛い
など
- 口・のどの主な疾患
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- 口内炎
- 扁桃炎
- 扁桃周囲膿瘍
- 逆流性食道炎
口内炎
口内炎は、口腔内の粘膜に起こる炎症性疾患の総称です。ビタミンが不足していたり、ストレスや睡眠不足、疲労などで身体の免疫力が落ちていると、口内炎が出来やすくなります。また、歯並びが悪かったり、入れ歯が合わないときも、上の歯と下の歯が上手くかみ合わず、歯ぐきを噛んで口内炎が出来たりします。
日常的に見られるため、医療機関を受診していない方も多いようです。しかし、全身疾患が原因となり、口の中に炎症が起こるケースもありますので、口内炎が多発したり、何度も繰り返したり、なかなか治らない場合は、決して楽観視せず、耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
口内炎が見られる場合、まずは原因を突き止めることが大切となります。全身性の病気が疑われるときは、血液検査なども行います。こうした検査によって原因が突き止められたならば、原因疾患の治療を行います。これと併行し、ステロイド薬や抗菌薬、ビタミン剤などによって口内炎の改善を目指します。
扁桃炎
扁桃炎は、口蓋垂の左右に1個ずつある口蓋扁桃に炎症が起こる疾患です。ウイルスや細菌が原因となって急激に発症する急性扁桃炎と、この急性扁桃炎が慢性化して年に3~4回以上も繰り返されるようになる慢性扁桃炎に分けられます。
どちらも症状は似ており、口腔扁桃の両脇が赤く腫れあがり、強い痛みが起こります。さらに、高熱や寒気、全身倦怠感、関節の痛み、喉の痛みが現われます。但し、慢性扁桃炎の場合は、なかなか症状が治まらず長引くことがあります。
治療にあたっては、まず原因を突き止めます。ウイルス性の扁桃炎の場合は、風邪と同じように対症療法を行います。発熱が見られるときは解熱剤を服用しますし、喉の痛みに対しては消炎鎮痛薬や鎮咳薬を使用します。これによって症状は徐々に快方に向かいますが、慢性扁桃炎となった場合は、扁桃を切除する手術も検討します。
扁桃周囲膿瘍
急性扁桃炎が長引くと、口腔扁桃の周囲に炎症が拡がっていき、扁桃周囲炎を引き起こすことがあります。扁桃周囲膿瘍は、扁桃周囲炎がさらに進行し、膿みの塊が出来てしまう疾患です。若い男性に多く見られると言われています。
扁桃周囲膿瘍になると、喉が腫れ上がり、痛みや発熱を伴います。痛みと炎症によって顎が動かしづらくなったり、上手く声が出せなくなったり、食物や水を飲み込みにくくなったりします。膿が原因となり、強い口臭が出現することもあります。
治療に関しては、主に抗菌剤を使用します。これによって症状が改善しないときは、腫瘍を切開して人工的に膿を排出させます。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流することで生じる消化管疾患の1つですが、咽頭や喉頭にも悪影響を及ぼします。胃酸が逆流すると、強い酸などによって喉がイガイガしたり、吐き気を伴ったり、咳が止まらなくなったりするのです。なお、喉だけでなく、耳管にまで影響が広がり、中耳炎の遠因となることもあります。
逆流性食道炎の治療は消化器科の領域となりますが、これに伴って生じる喉や鼻、耳の症状を改善するには、耳鼻咽喉科での治療を併行して行うことが肝要です。